宮崎信用金庫事件(福岡高宮崎支判14・7・2) 社内不正告発のため無断で機密情報入手・漏洩 懲戒解雇処分認めず ★
2003.03.10
【判決日:2002.07.02】
公益性を重視して 第一審の判決覆す
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
甲は、Y信用金庫に雇用され、平成10年4月10日まで西都支店貸付係担当係長として勤務し、6年8月にY信金職員組合の執行部に入り、副執行委員長を務めた。乙は、同じくY信金で10年4月10日まで本店営業部得意先係として勤務し、組合の副執行委員長を務めた。
平成10年4月10日、Y信金は、甲乙が①Y信金の管理している顧客に関する信用情報等が記載された文書を不法に入手し、②これらの文書やY信金の人事等を批判する文書を外部の者に交付して機密を漏えいし、③Y信金の信用を失墜させたとして、甲乙を懲戒解雇した。
これに対し、甲乙は、懲戒解雇事由の不存在、甲乙の行為の正当性等を理由に、右懲戒解雇が解雇権の濫用にあたるとして、解雇の無効確認および賃金の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
Y信金における複数の不正疑惑案件について、平成8年以降、甲乙が中心となり組合の三役交渉等を通じてY信金の理事らに事実の解明と善処を強く求めていた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成15年3月10日第2432号14面 掲載