KDDI事件(東京地判平30・5・30) 手当を騙し取ったと懲戒解雇、退職金もゼロに 故意に不正受給し解雇有効
子の別居を届け出ず単身赴任手当等を不正受給したとして、懲戒解雇された女性が地位確認等を求めた。東京地裁は、3年以上で400万円超の損害が生じ、雇用継続の前提となる信頼関係を回復困難な程に毀損したと判断。規程などから変更の届出が必要なことは認識できたとして、虚偽の申告を故意と認めた。謝罪や弁償もなかった。退職金は勤続の功を勘案し6割を不支給に。
謝罪や弁償もなく 「勤続の功」6割減
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
K社(KDDI株式会社)は、電気通信事業法に定める電気通信事業等を業とする会社である。甲は、昭和60年4月、K社の前身会社(KDD)に就職、その後、吸収合併を経たK社と期間の定めのない雇用契約を締結し、平成27年11月18日、本件懲戒解雇されるまで総合職の正社員として職務していた。
甲は、平成24年10月1日、東京都多摩市にあるK社事業所に異動し、同月30日、K社の借上げ社宅(単身者用マンション)に入居、その後、同社宅にて長女と同居を再開した。
K社は、①甲が長女と別居していた平成24年4月から同年12月までの期間、別居の届出を行わず、住宅手当を受け取っていたこと、②社宅への入居時期、長女は大学の関係で練馬区の自宅に残ると虚偽の申告をし、甲の入居が単身赴任に該当するかのようにK社を誤信させ、単身赴任手当、本人赴任手当、帰省旅費を不正に受領し、社宅使用料の支払い等を不正に免れたこと、…
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