川崎製鉄事件(神戸地判平12・1・28) 工場閉鎖に伴う出向命令に本人の同意が必要か 就業規則の法規範性認める
2000.10.16
【判決日:2000.01.28】
無効とするほどの著しい不利益ない
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y社は神戸工場を閉鎖して、西宮地区に業務を集約することとし、神戸工場内の関連会社Z1に出向していたXらに、西宮への移動を打診したが、Z1への出向にも反対の意思を表明していたXらは、勤務場所の変更には応じられないと断ったため、一旦Y社に復帰させて、神戸総務部に配属すると同時に、鉄鋼開発・生産本部水島製鉄所企画部企画室派遣とした。
Y社は、川崎製鉄阪神労働組合に対し従業員全員がY社からの出向者である子会社の甲南ゼネラルサービスへの出向に関する協議を申し入れ、川鉄阪神労働組合がこれを了承したことから、Xらに甲南ゼネラルサービスへの出向に関する説明を4回から6回行ったうえで、Xらに出向(在籍)を命じた。
これに対しXらは出向命の無効確認を求めたものである。
判決のポイント
(出向命令の法的根拠)
「使用者が労働者に対し出向を命ずるには、当該労働者の承諾その他これを法律上正当づける特段の根拠が必要である」、「Xらは…本件出向命令に対して異議を留めているから、Xらの承諾があったということはできない。そこで、本件出向命令を法律上正当づける特段の根拠の有無につき検討する」。…
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平成12年10月16日第2317号13面 掲載