シンガポールデベロップメント銀行<本訴>事件(大阪地判平12・6・23) 他支店へ配転せず閉鎖支店だけの希望退職募集は 「不当とはいえない」と判示
2000.10.30
【判決日:2000.06.23】
解雇4要件の有無 程度は総合判断で
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
シンガポール共和国に本店のある被告は、東京、大阪に在日支店を置き、開発融資、商業銀行業務などを行っていたが、平成5年度以降、在日支店の経常利益、貸出金銭高のいずれもが落ち込み、業務量も減少傾向にあったため、東京支店に業務の集約化を図った。この結果、大阪支店については、平成11年度に経常利益がマイナスに転じ収支改善の見込みがなく、大阪に支店を置く必要性がないと判断して、平成11年3月4日、同年6月ないし7月に大阪支店を閉鎖すると発表し、組合との団交において、後日、希望退職を含む提案をするとしたが、東京支店への転勤はないと告げた。その後、3月18日、被告は、大阪支店全職員に、希望退職パッケージ(追加退職金、転職斡旋サービスなど)の骨子を提示し、3月26日には組合と東京支店への配転等を含めて団交を行った。被告は、4月5日、希望退職パッケージを提案し、希望退職を募集したが、原告ら組合ともに納得せず、5月21日の団交で、被告は、退職金の増額を提案したが、原告らの東京支店への配転については応じず、希望退職に応じなければ解雇することになる旨伝えた。
原告らは希望退職に応じなかったので、被告は6月8日、6月15日付の解雇予告をし解雇した。…
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平成12年10月30日第2318号13面 掲載