古賀タクシー事件(福岡高判平11・11・2) タクシー乗務係から営業係への配置転換命令は? 業務の必要性を認める
2000.11.06
【判決日:1999.11.02】
職務上、生活上特段の不利益はない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本事案は、タクシー乗務員から営業係(営業補助業務)への配転命令の効力が争われたものである。この営業係の業務は、タクシー乗務と密接に関連するものであり、控訴会社においては、ジャンボタクシーの乗務は主に営業係の担当とされていた。
一審の福岡地裁判決は、配転命令は合理性がなく手続的に労使関係の信義則に反し無効とした。
本件は、その控訴審判決である。
判決のポイント
控訴会社の就業規則によるに、乗務員の職務の性質から特有のもの(たとえば、無線の呼出しに対する応答、自動車運転免許証の携帯等)や、乗務員服務規定の遵守を定めた規定(11条)のほかは、職種に限定した定めはなく、異動・出向に関する規定(18条)においても、「会社は業務の必要により、従業員に職務、職種、職場、勤務地等の異動、又は出向を命ずることがある。この場合、正当な理由なくこれを拒否することはできない」と定められており、乗務員とそれ以外の従業員との間の区別はされていない。また…控訴会社と被控訴人との間の労働契約においては、労働条件の詳細は就業規則によるものとされ、被控訴人は、その遵守を誓約していることが認められる。…
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平成12年11月6日第2319号13面 掲載