日本体健事件(大阪地判平14・7・12) 退職金の請求権放棄は錯誤だから支払いを 狙いは懲戒解雇の回避に

2003.05.05 【判決日:2002.07.12】
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事実に基づく説明を 納得のうえで書面化

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、原告が被告を退職するに際し、退職金を放棄する旨の書面を作成したものの、それが仮に退職金請求権を放棄する意思表示にあたるとしても、それは、①被告の欺罔・強迫に基づくもので取り消されるべきものである、したがって②錯誤を原因とするもので無効である、として、退職金とこれに対する遅延損害金を請求した事案である。

判決のポイント

 本件放棄の意思表示が強迫により取り消しうべきものであるというには、被告の原告に対する害悪の告知が違法であり、かつ、原告がそれにより畏怖して自由な意思の形成を妨げられた結果、前記意思表示をしたことを要するといわなければならない。

 被告においては、原告が本件非行により勾留中であることが発覚したことを受けて、…

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平成15年5月5日第2439号14面 掲載
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