公営社事件(東京地判平11・11・5) 営業方針等に非協力な営業部次長への配転命令 業務上の必要性欠き無効
2000.11.20
【判決日:1999.11.05】
支障を認めるに足りる証拠ない
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲は入社以来、新規顧客の開拓を主とした営業活動に従事し、営業部長の任にあったが、組織改正に伴う開発職手当の廃止や新部長に対する不満から、営業方針にも非協力的な態度に終始するだけでなく、不穏当な発言を繰り返すようになった。
会社は、甲の言動が業務に支障を及ぼすと判断、新たに営業管理部を設け、甲に対し、営業管理部次長への配転命令を行ったが、甲がこれを拒否したため、甲に解雇する旨の意思表示をした。
これに対し甲は、配転命令は会社が甲を自己都合退職に追い込むために行われたものであり、業務上の必要性もなく、人選の合理性もない恣意的なものであるから、権利の濫用に当たり、無効であるなどと主張して、本訴を提訴した。
判決のポイント
本件において、甲は、会社から新規顧客の開拓を期待されて会社に入社し、実際にもその業務に従事していたが、甲の職務を新規顧客の開拓に限定する趣旨の雇用契約書が作成された形跡はない一方、会社の就業規則10条1項には、会社は業務都合により社員に対して職場若しくは職務の変更、転勤その他の人事上の異動を命ずることがあると規定され、…
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平成12年11月20日第2321号13面 掲載