B学園事件(青森地弘前支判平12・3・31) 始末書提出拒否の教諭に4日間の出勤停止処分 懲戒権を逸脱し、無効 ★
2000.12.04
【判決日:2000.03.31】
非違行為が認められない場合はムリ
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y学園は、経営するY女子高校の英語科教諭Xが、①平成10年4月の入学式において、担任として新入生の氏名を呼び上げるにあたり、全く投げやりな音声、態度に終始し、②担任紹介の登壇の際、生徒にも指導している国旗への敬礼について、独り敢えてこれを行わず、③右の2点について、Y女子高校の校長より反省を求められ、始末書の提出を指示されたにもかかわらず、それを拒否して応じなかったとして、Y学園就業規則69条1号「この就業規則や他の規定に違反したとき」、2号「職務上の義務に違反したとき」、3号「上長の職務上の命令や指示に反抗するなど秩序を乱したとき」に該当するとの理由で、4日間の出勤停止処分をした。
これに対しXは、Y学園の右処分は、懲戒権を濫用また逸脱したものであるとして、右処分の無効確認を求めて提訴した。
判決のポイント
労働者は、労働契約を締結して雇用されることによって、使用者に対して労働提供義務を負う一方、使用者は、始末書の提出によって企業秩序の回復を図ることができるから、始末書の提出を強制する行為が、労働者の人格を無視し、意思決定ないし良心の自由を不当に制限するものでない限り、使用者は、非違行為をなした労働者に対し、謝罪の意思又は反省の意を表明する趣旨の始末書の提出を命ずることができ、…
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平成12年12月4日第2323号13面 掲載