大阪観光バス事件(大阪地判平12・4・28) バス添乗員へのセクハラ運転手に懲戒解雇処分は 懲戒規定に該当は明白
2000.12.11
【判決日:2000.04.28】
日頃の男女関係問題への対応が重要
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
旅客自動車運送事業等を営むY社は、取引先である大手旅行会社乙社から、添乗員からY社のバス運転手Xらによるセクハラの苦情が出ている旨の連絡を受け、Y社の運行部長甲らがXらに事情聴取をしたところ、Xは曖昧な応答をしたので、甲はXとともに乙社に謝罪、具体的調査を依頼し、乙社からXに対する多数の被害報告があったとして今後の指導を要請する文書が届いたので、甲はXに口頭で注意するとともに乙社宛の始末書を提出させた。
その後、入社間もないY社のバス添乗員丙がX運転のツアーに乗務した際、回送地に着くまでの間、性的な会話をしむけたり、脚部や胸部に触れるなどの行為を断続的に行ったうえ、乗務後帰社する際に執拗にドライブに誘い、抱きつくなどのセクハラ行為を行ったことを、丙が他の運転手に相談、Y社に届け出た。Xは「丙こそ言葉でセクハラをしているのではないか、ビラをまいたろうか」などと述べ、事情聴取に応じなかった。
Y社はXに対し、就業規則88条8項の懲戒解雇事由に該当するとして、懲戒解雇の意思表示をした。Xは、Y社の主張する右意思表示は合理的理由のない解雇権の濫用であると主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の支払いを求めた。…
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平成12年12月11日第2324号13面 掲載