北海道交通事業協同組合事件(札幌地判平12・4・25) 合理化に伴う余剰人員を“選定基準”もなく指名解雇 削減数少なく合理性認める
2001.09.17
【判決日:2000.04.25】
4要件は総合的に 考察すれば足りる
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、北海道内外のハイヤー・タクシー会社を組合員として、組合員の扱う自動車・自動車部品・燃料等の共同購入を事業目的とするY協同組合に採用され、経理事務、電話交換を経て無線センター業務に従事してきた。Xは無線センター職員26名中唯一の女性職員であり、Xと他の3名を除いた22名はタクシー乗務員の経験があった。
Y組合の競合企業である札幌市内のタクシー会社2社は、すでにGPSによる配車システム(衛星通信回線を利用して自動的に顧客の乗車位置に最も近い空車を識別して配車するシステム)を採用し効率を上げていた。そこでY組合においても、平成10年7月にGPSによる配車システムを導入することとした。
その結果、GPSによる配車作業は20名で可能となることから、Y組合は余剰人員6名の減員を図ることとし、定年至近者である職員1名、電話応対の悪い4名と、地図の検索・作成能力の劣るXが減員対象者として選定された。定年至近者は退職に応じ、Xを除く4名は乗務員に配転されたが、Xは他に職場がないことから、Y組合のK部長は退職を勧奨した。しかし、Xがこれを拒否したため、1月29日、解雇を予告した。
Xは、2月12日、Y組合に団交申入書入りの封書を持参したが、封書の内容については答えなかったため、Y組合のK部長はこれを受領しなかった。…
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平成13年9月17日第2361号12面 掲載