公共社会福祉事業協会事件(大阪地判平12・8・25) 経営譲渡に伴う労働条件の一方的変更は可能か “不利益”には合理性必要
2001.10.01
【判決日:2000.08.25】
承継時の労働条件 同意あれば変更可
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
東大阪市では、市のⅠ保育所の経営をA協会に委託し、XらはA協会に雇用され保母等として勤務していた。ところが、市は行財政改革の一環として社会福祉法人であるY協会を設立し、A協会からY協会にⅠ保育所の経営を譲渡することとした。
この事業譲渡を機に労働組合が結成され、「現行労働条件および労働慣行を当分の間遵守する」旨の協定も締結された。
Y協会は設立に際して新就業規則・給与規則を作成したが、Xらにはこれを適用せず従前の賃金を支払っていた。しかし、翌年、基本給については組合およびXらが同意したことから、新給与規定を適用して減額し、さらに通勤・扶養・住宅の諸手当については同意が得られないまま、新給与規定を適用して減額した。
Xらは従前の諸手当との差額の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
争点は次の3点である。ここでは1、2をとりあげる。…
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平成13年10月1日第2363号12面 掲載