全日本スパー本部事件(東京地判平14・11・26) 降職は違法、地位確認と手当・賞与の減額分を請求 使用者の裁量逸脱せず合法

2003.06.16 【判決日:2002.11.26】
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業務上の必要性と不利益を比較衡量

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 労働者甲は、平成4年7月13日、会社(株式会社全日本スパー本部)に就職し、平成6年4月、総務・管理グループのマネジャーとなった。

 会社は、オランダに国際本部を置く食品小売業の国際チェーン組織「スパー(SPAR)」の日本本部である。業務は、スパー商標の管理、国際スパー本部や地区本部との連絡・情報交換、グループ全体のデータ管理、人材開発、プライベートブランド商品の企画・開発、商品の共同購入等である。

 会社は平成12年8月1日、甲に対し同月6日限りで総務・管理グループマネジャーの職を解き、受発注を担当するいわゆる平の従業員に降職する旨の意思表示(本件降職)をし、8月分以降の役職手当(3万5000円)を支払わなかった。また給与規定には賞与支給の定めがあるが、平成12年12月、甲に対し、同年冬期賞与として62万1040円を支給した。

 甲は、本件降格は人事上の裁量権の逸脱で、違法・無理があるとして、本訴を提起した。…

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平成15年6月16日第2445号14面 掲載
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