新日本製鐵<日鐵運輸>事件(福岡高判平12・11・28) 復帰の可能性見込めない在籍出向の期間延長は 労働協約の締結が前提に
2001.10.15
【判決日:2000.11.28】
業務上の必要性が延長措置後も継続
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
被控訴人会社の従業員である控訴人らが、Yの発した出向命令が無効であるとして、主位的には出向先で労務を提供する義務がないことの確認を求め、第2次請求として、同出向命令の無効確認を求め、さらに第3次ないし第5次請求として、その後3年毎になされた各出向延長措置以降における出向命令の無効確認を求めた事案である。
判決のポイント
1、「過去の法律行為(本件出向命令)の無効確認を求める訴え」は、控訴審で主位的に追加された「出向先に労務を提供する義務のないことの確認を求める訴え」について判断すれば抜本的な解決が図られるので確認の利益を欠く
2、就業規則の社外勤務規定および労働協約(社外勤務協定)は、労働協約が現実的に機能している等の事情を勘案すれば個別の同意に代わりうる出向命令権の根拠たりうる
3、本件出向は、業務上の必要性や人選の合理性があり、勤務場所、内容、形態に全く変化がなく、その他看過できない程度の不利益が生じているとはいえないから、当初から長期化し、復帰の困難性が予想されていたとしても、本件出向を命じることが権利の濫用に当たるとはいえない…
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平成13年10月15日第2365号12面 掲載