住友生命保険事件(大阪地判平13・6・27) 既婚女性であることを理由とする昇給昇格の差は? 一律の低査定は不法行為
2001.11.19
【判決日:2001.06.27】
産前産後休業等の取得抑制は違法に
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
12名の女性従業員が、会社に対して、既婚者であることから昇給・昇格において違法に差別され、嫌がらせを受けたと主張して、一定の資格・地位にあることの確認、差額賃金又は差額賃金相当額の支払いを請求し、また、国に対して、均等法に基づく指針の無効確認、婦人少年室長による調停不開始の決定が違法であることを理由とする国家賠償請求を行った事案である。
これに対し会社は、原告らに対する処遇は、あくまで個々人の業績や発揮しうる能力等を公正に評価した結果によるものであり、昇給状況等において既婚者と未婚者との間に一定の差異が認められたとしても、既婚者特有の諸事情が大きく影響した結果と考えられ、不当な差別意思に基づくものではない、と主張した。
判決のポイント
1 地位確認請求について被告会社における昇格は、それが各年の人事考課によるものであることに鑑みれば、被告会社の裁量権の行使によって決せられるものであり、同原告らが請求している地位にあることの確認のためには、原則として被告会社による昇格決定がなければならないところ、本件では、被告会社によるかかる昇格決定はなされていない。…
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平成13年11月19日第2369号12面 掲載