千葉県市町村職員共済組合事件(東京高判平13・5・24) 破産宣告を受けた者の退職金と共済貸付の相殺は 破産法16条の趣旨に反する
2001.11.26
【判決日:2001.05.24】
任意の破産債権の弁済とはいえない
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは地方公務員在職中に破産宣告を受け、その後に勧奨退職した。Xは在職中、Y(共済組合)から住宅資金を借り入れていたが、その返済については、借用書、共済組合貸付規則、地方公務員等共済組合法115条2項に、給与から返済金が控除され、Yに払い込まれることが定められていた。
退職に際して、破産管財人は退職金の4分の1を破産財団に提供させ、残りの退職金請求権を財団から放棄したので、4分の3はXの自由財産となった。そこで、この退職金からYの住宅貸付金残高574万円余が控除され、残りがXに支払われた。
Xは、Yが破産債権者であるにもかかわらず、破産手続きによらないでXの意思に反して返済を受けたものであり、破産法16条に違反するとして不当利得返還を求めた。
判決のポイント
地裁判決は、貸付の際、Xが貸付規則に従うと約定していることから、同規則に基づいて行われた控除・払い込みは任意弁済と評価することができるとして、Xの請求を棄却した。これに対して本件判決は、任意弁済ではないとして、Xの不当利得返還請求を認めている。判旨は次のとおりである。…
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平成13年11月26日第2370号12面 掲載