東洋水産事件(横浜地裁川崎支決平14・12・27) 老朽化工場の閉鎖で日給月給者が解雇は無効と 「やむを得ない事由」に該当
2003.08.18
【判決日:2002.12.27】
回避努力を評価し濫用に当たらない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
Xら4名は、Y株式会社川崎工場において期間の定めなく採用され、日給月給者として生麺の製造等の業務に従事していた女性である。勤続年数は約10年から25年であった。
Y社は、川崎工場の老朽化が進み、作業場内が狭く、工場の老朽化等による安全面での問題や資材倉庫が不十分なことによる品質管理上の問題、隣接地に葬祭場が建設されることによる環境悪化等の理由から、川崎工場の事業を継続することは困難であると判断した。そこで平成13年10月の朝礼において、従業員全員に対し、上記の理由から14年3月末日までに全部門の稼働を停止して工場を閉鎖すること、従業員の雇用確保についてはY社の企業グループ内で可能な限り紹介するよう努力したいこと等を告げた。
Xらは13年11月、労働組合に加盟した。組合とY社との間で8回の団体交渉が行われ、組合は工場閉鎖の取止めや近隣での雇用確保、割増退職金の増額を要求した。Y社は組合の要求は受け入れることはできないとして、…
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平成15年8月18日第2453号14面 掲載