新富自動車事件(富山地判平15・1・16) 賃金減収になる完全歩合給制の導入は無効と主張 不利益性は全体の評価で
2003.10.06
【判決日:2003.01.16】
減少幅大きくない 赤字で変更は必要
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、原告らが、被告に対し、就業規則の変更によって実施された新賃金体系が無効であることを理由として、雇用契約に基づき、従来の賃金体系による賃金との差額賃金及び未払賞与の支払を求めるとともに、新賃金体系が実施されたことによって精神的苦痛を被ったとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、それぞれ慰謝料等の支払を求めた事案である。
判決のポイント
(1)労働者が被る不利益の程度をみると、賃金総額が9%程度減少したものであるから、相当な不利益といえるが、減少割合からみて大きな不利益とまではいえない。もっとも、原告A及び原告Bについては20%近くの減少となっているから、大きな不利益といえるが、原告Cについては、僅かの減少に止まっているのであり、労働者が被る不利益の程度は、全体的に評価すべきものである。…
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平成15年10月6日第2459号14面 掲載