治癒等判断できず解雇に合理性ある

筆者：弁護士　加茂 善仁（経営法曹会議）

事案の概要

　本件は、うつ状態あるいは自律神経失調症を理由として休職に入った債権者が、18カ月間の休職期間満了の約１カ月前に、症状が回復したので就労する旨会社に申し出たため、会社が債権者に対し、通院治療を受けている主治医から事情聴取を行うことの承諾を求めたところ拒否された。そこで会社は、産業医の紹介で別の医師の診察を受けるよう伝えたが、これも拒否され、その後、債権者の加入する労働組合と協議し同組合が紹介した医師で診断を受け、その診断書を提出する旨の確認書を締結し、当初の提出期限を３回延期したにも拘わらず、診断書を提出しなかった。

　その後、債権者は別の医師の「証明書」を提出してきたが「診断書」とは異なるため、その医師から意見を聴取すべく面談の承諾を求めたが、これも拒否されるなどしたため、会社は債権者の復職の可否を判断するための資料を収集できなかった。…