ベルコ事件(札幌地判平30・9・28) 営業代理店クビになり運営委託会社へ地位確認 発注元に労働契約帰属せず
冠婚葬祭会社の営業代理店を雇止めされた従業員2人が、会社本社に地位確認を求めた。会社と代理店主は、業務委託契約を締結していた。店主は会社の「商業使用人」といえるか、本社に労働契約が帰属するかについて札幌地裁は、店主の勤務実態から労働者性は認められないと判断。労務の遂行方法や時間、場所に裁量があることなどから使用人には当たらないとし、請求を斥けた。
商業使用人を否定 時間や場所に裁量
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、冠婚葬祭互助会員の募集および冠婚葬祭の請負等を主たる業務とする株式会社である。Y社は、全国の個人事業主および法人との間で代理店契約および業務執行委託契約を締結し、Y社の上記業務における営業等を行わせている。
Aは、平成14年10月、Y社との間でY社の冠婚葬祭の互助会員募集業務や互助会入会契約の締約代理業務を受託する契約(以下「本件代理店契約」)およびY社の運営する葬儀の役務提供に関する業務執行委託契約(以下「本件委託契約」)を締結した(本件両契約は1年ごとに更新)。なお、契約が続いている間、AはY社から受託した業務を遂行する合同会社(以下「A合同会社」)を設立し、その代表社員となっている(以下、AとA合同会社を通してAという)。
X1は平成21年4月に、X2は同20年2月に、各々、期間1年の有期労働契約をAとの間で結び、葬儀の施行、Y社が提供する冠婚葬祭の互助会契約の勧誘等の営業活動に従事してきた。…
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