Y金融公庫事件(東京地判平15・6・20) プライバシーの侵害?採用時健診でB型肝炎検査 本人の同意なく不法行為に
2003.11.24
【判決日:2003.06.20】
必要性乏しい調査 不採用措置は有効
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
XはY金融公庫の採用試験に応募し、Yの指示で6月2日と18日に健康診査を受け、さらに肝機能の数値が高いとして同月30日に健康診査を受けた。またYは肝臓に異常があったと説明し精密検査を受けるよう勧め、Xはこれに同意のうえ7月9日に精密検査を受けた。同月23日、Xは診断結果を聞くため病院へ行き、初めて医師からB型肝炎ウイルス感染による慢性の活動性肝炎で、定期的な受診が必要との診断を告げられた。
同月29日、YはXと面談し、採用内定できない旨を伝えた。
Xは、①不採用通告はB型肝炎ウイルスに感染していることのみを理由とする不合理な内定取消しまたは内内定の取消しである、②無断でB型肝炎ウイルス感染検査を受けさせた、③無断でB型肝炎ウイルス感染の精密検査を受けさせた――ことによりそれぞれ精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した。…
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平成15年11月24日第2466号14面 掲載