パワーテクノロジー事件(東京地判平15・7・25) 受託義務を無断終了し大損害、出勤停止は有効? 懲戒権行使の裁量範囲内に

2003.12.08 【判決日:2003.07.25】
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命令違反は明らか 賃金の請求斥ける

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社はコンピュータソフトの設計、開発等を業とし、平成14年2月28日、Xに対し①3月1日より派遣先をA社とし、②A社の客先であるB社(元請)が受注したC社の情報系のデータベースの構築作業を命じた。その内容は、基本設計、詳細設計、プログラム製造、テストで、作業形態は客先常駐型の派遣とし、指示命令に関しては、現場担当者及びY社M課長の指示に従うこととした。

 Xは、本件業務命令に基づいてC社の事業所で作業に従事中、上長に相談することなく、4月1日にA社の現場担当者に、同月5日にB社の担当者に対し、それぞれ自分の体調不良を理由に持ち帰って仕事したいと申し入れた。またA社の社員が、Xに対し仕事の継続の意思を尋ねた際、Xは上長に相談することなく仕事の終了を選択した。

 その結果、Y社は顧客のA社から代替者の配置を要請され対応を迫られたが、応ずることができなかったため、少なくとも残り5カ月程度の継続が予定されていた本件受託業務を4月末で終了せざるを得なかった。

 そのためY社はXに対し、平成14年5月24日、Xの右の行為は本件業務命令に反する行為であり、Y社の就業規則54条の11所定の「業務上の指揮命令に違反したとき」に該当するとして、同月27日から6月4日までXを出勤停止処分とし、その間の賃金を支払わなかった。…

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平成15年12月8日第2468号14面 掲載
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