三井倉庫事件(東京地判平13・7・2) 社員不適格を理由とする試用期間満了時の解雇は? 普通解雇事由にも該当する
2002.03.04
【判決日:2001.07.02】
頻繁にミス繰返し能力や適性を欠く
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
原告XはY会社に採用されたが、3カ月の見習期間中ミスを多発、上司等からの是正指導に対しても耳を傾けず我流を通し、Xの事務処置では他職員がそのフォローに多大な負担を要する状況となっていた。そこで、Y会社は、本採用とするには不適格であるとして、見習期間を2カ月間延長した。
しかし、Xは、勤務状況が改善されず、常識では考えられないような作業ミスを犯す状況を続けたため、Y会社は、Xに対し、自己都合による円満退社を勧告した。しかし、Xがこれに応じなかったため、就業規則12条3項「試用期間の途中又は終了に際し従業員として不適格と認められる者は解雇する」に基づき試用期間満了をもって解雇した。
これに対し、Xは、Xの作業ミスの原因は、Y会社が業務の流れや業務内容の基本を教えず、上司・同僚から、いじめや無視などの仕打ちが繰り返されたことにあり、また本件解雇当時、Xは業務内容を理解することにより改善の見込みがあったにもかかわらずなされた解雇は無効であるとして、地位確認及びバックペイを求めるとともに、いじめや無視等をした上でなした解雇は不法行為に該当するとして慰謝料100万円を請求した。…
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平成14年3月4日第2383号14面 掲載