国鉄千葉動労(違法争議損害賠償)事件(東京高判平13・9・11) 争議予告を12時間前倒ししてスト決行 不法行為で損害賠償義務
2002.04.29
【判決日:2001.09.11】
混乱予想できたとして3割過失相殺
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
控訴人組合(組合という)は、被控訴人鉄道会社(会社という)に対し、地労委の救済命令の完全履行等の要求事項の実現を求め、平成2年3月19日午前0時から48ないし72時間のストを通告していた。
会社は、右スト対策として、組合員等の駅構内への立ち入り禁止措置をとり、また、ストの際の代替乗務員が、組合員から罵声を浴びせられたりするのを防ぐため、駅構内にある組合事務所の前にフェンスを設置することとし、3月18日早朝より、組合員等の構内への立ち入り禁止措置及びフェンスの設置工事を開始した。組合は、会社に対し、これらを中止するよう申し入れたが、会社がこれを拒否したため、同日午前11時55分頃、予定のストを12時間前倒しし、同日午後0時から実施することを通告し、ストに突入した。その結果、列車の運行が大幅に乱れた。
会社は、ストの前倒し実施は違法であると主張して、スト対策要員の人件費、代替輸送費、払戻費を組合に損害賠償請求した。…
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平成14年4月29日第2390号14面 掲載