日本郵便(更新上限)事件(最二小判平30・9・14) 更新年齢に上限、雇止め法理の適用なく終了? 実質無期や継続期待を否定 ★
65歳更新上限の導入により雇止めされた9人が、雇用継続を求めた。年齢上限は雇止めとは別の契約終了事由として、就業規則の不利益変更に準じて、上限の必要性と合理性を認めた原審に対し、最高裁は雇止め法理に当てはめ、実質無期といえず更新期待も生じないとした。事業規模から加齢の影響や程度を各人でなく、年齢で一律に判断することも相応の合理性があるとした。
加齢など一律判断 合理的な労働条件
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
郵政民営化前の郵政事業は、特殊法人である日本郵政公社(以下「旧公社」という)が実施していたが、郵政民営化に伴い、郵便事業株式会社(以下「郵便事業社」という)や郵便局株式会社(以下「郵便局社」という)などが、旧公社の業務等を承継し、旧公社は、平成19年10月1日をもって解散した。その後、平成24年10月、郵便事業社と郵便局社との合併により設立されたのが被上告人である。
上告人らは、1人を除き、旧公社の非常勤職員であったが、平成19年9月30日が最終の予定雇用期間の満了日とされており、同日、旧公社を退職し、翌10月1日(1人は平成21年1月20日)、被上告人と有期労働契約を締結して、時給制の期間雇用社員として、郵便物の集配等の郵便関連業務に従事した。
旧公社の非常勤職員については、一定の年齢に達した場合に以後の任用を行わない旨の定めはなかったが、被上告人の期間雇用社員就業規則には、満65歳に達した日以後、契約更新を行わない旨(以下「本件上限条項」という)が規定されていた。…
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