地公災基金群馬支部長事件(東京高判平13・8・9) 消防士が火災出動中に急産心不全で死亡 公務の過重負荷が原因に
2002.07.29
【判決日:2001.08.09】
高血圧、多量喫煙など危険因子多数
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
消防吏員であった甲は、勤務中に仮眠していたところを、火災出動指令により起こされ、消防車に乗り込んだ直後に全身痙攣状態となり、急性心筋梗塞を発症し、急性心不全により死亡した。甲の妻のXは、甲の死亡は公務に起因するとして、地公災基金群馬県支部長に対し公務災害の認定請求をしたが、公務外の災害とされたため、審査請求、再審査請求をしたが、請求を棄却された。Xは、不認定処分は違法であるとして、取消しを求めて提訴した。
これに対し、前橋地判平13・8・9は、死亡前1カ月の勤務も肉体的に過重な負担を伴う業務であったとはいえず、かえって高血圧、高脂血症、多量の喫煙習慣、肥満傾向、運動能力低下などの複数の危険因子が改善傾向を示すことなく顕著にみられ、発症当時には、動脈硬化症が相当進行し、心筋梗塞の発症、急死に至る高度の危険性が存在していたのであり、右発症は体質的素因の自然的増悪が有力な原因となって生じたものとして請求を棄却した。Xは、これを不服として控訴した。…
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平成14年7月29日第2402号14面 掲載