東京急行電鉄事件(東京地判平14・2・28) 出勤点呼30秒、移動時間数秒は労働時間? 「指揮命令下」で賃金支払を

2002.08.12 【判決日:2002.02.28】
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前任者との引継ぎ時間は“対象外”に

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 原告らは、被告会社(鉄道会社)の駅務員として定期券発売業務、改札窓口業務、室内業務等に従事している。

 原告らは、出勤日において、始業時刻前に出社し、駅務室(または駅長室)で出勤点呼を行った後、15メートルないし100メートル離れた勤務場所に移動して業務に従事し、終業時刻に担当業務を終えた後、出勤点呼をした場所に戻り、退社点呼をした後、退社することになっていた。原告らは、①出勤点呼(30秒ないし1分)及び退社点呼(20秒)に要する時間、②出勤点呼後勤務場所へ移動する時間(数秒ないし30秒であり、出勤点呼と合わせても平均1分)、③勤務開始時の引き継ぎに要する時間――は労基法の労働時間であるとして、未払賃金の請求をした。

判決のポイント

 労基法の労働時間

 労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、…

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平成14年8月12日第2404号14面 掲載
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