月島サマリア病院事件(東京地判平13・7・17) 経営譲り受け前の勤務期間の取扱いは? 退職金算定対象に含める
2002.09.02
【判決日:2001.07.17】
他の従業員で遡及支払いの例あった
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
Yは、月島サマリア病院の名称で本件病院を経営している者(個人)である。甲は、昭和54年8月6日、Yの前任の医師Xとの間で雇用契約を締結し、看護婦として勤務した。Yは昭和58年4月5日Xより本件病院の経営を引き継いだ。即ちYは、Xから本件病院の経営権を譲り受けるとともに、本件病院の建物を賃借し、甲を含む病院職員をそのまま引き継ぐなどした。Yはこれ以降現在まで本件病院を経営している。甲は平成11年4月15日自己都合により、病院を退職した。甲の退職時基本月額は32万7800円であった。
Yは経営を引き継いだ後の昭和58年12月12日に就業規則(本件就業規則)を変更した。変更した本件就業規則によると退職金額が一律20%減額、支給比率も削減、甲についての退職金額は変更前の就業規則に基づくものと比較して53%減となるものであった。そのため、甲は、第1に退職金計算の勤務期間の始期はXと雇用契約を締結した昭和54年8月6日から、第2に退職金の算定は昭和58年12月12日就業規則が制定される前の旧就業規則が適用されると主張して、Yに訴えを提起した。…
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平成14年9月2日第2407号14面 掲載