全国信用不動産事件(東京地判平14・3・29) 55歳到達時に給与3割カットの不利益変更 「高度の必要性」なく無効
2002.09.09
【判決日:2002.03.29】
収益連動型賞与の乗率引下げは容認
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
信用金庫の事業用不動産の取得等を主業務とする被告Yの従業員であった原告Xが、Yに在籍した当時満55歳に到達した平成9年1月の翌月以降、変更された就業規則に基づいて給与等が低減されたこと(就業規則変更の結果、Xの給与は、本俸は増額されたものの、特別手当や定昇がなくなり、月例給与額は約68%に減少、賞与の乗率も55歳未満の者よりも減らされた)につき、就業規則の変更を無効として、Yに、13年10月分までの本来得られるべきだった給与等と実際に受領した給与等の差額の支払を請求した。
判決のポイント
本件では、経営状況改善のための他に執り得る措置がなく、または、措置があるとしてもその実施が困難であることについて証拠がないこと、被告が倒産の危機に瀕している状況になかったこと、減額の程度が相当大きいことから、本件就業規則等変更時点において高度の必要性を認めることは困難であり、その合理性を認めることはできないので、月例給与部分に関する変更は無効である。…
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平成14年9月9日第2408号14面 掲載