セイシン企業事件(東京高判平13・3・29) 作業前の安全教育、安全管理を怠り右腕切断 企業側の過失割合60%
2002.12.02
【判決日:2001.03.29】
不用意に作業した労働者も責任あり
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
平成8年11月12日午前5時ごろ、Y社工場内で造粒機による造粒加工作業に従事中のXが、造粒機に組み合わされて設置されたロータリーバルブ(本件バルブ)に右腕を巻き込まれ、右上肢肘下10センチメートル切断の傷害を負った事故につき、使用者のY社に対し、雇用契約上の安全配慮義務違反等を根拠として、損害賠償請求の訴えを提起した。第一審の東京地裁は、Y社の安全配慮義務違反の債務不履行を認めたが、Xにも過失があったとして5割の過失相殺をした。X、Y社とも右判決を不服として控訴した。
判決のポイント
Y社の工場においては、日常の安全教育、安全管理の面でも、またXが本件造粒機の操作に従事するにあたっての個別的な安全指導、安全管理の面でも、いずれも十分でなかった。
Xが造粒機の操作に従事するのは本件事故当日が最初であったうえ、機械の構造や作業上及び安全上の注意事項などについての説明、指導は何も受けていなかったから、…
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平成14年12月2日第2419号14面 掲載