岡田運送事件(東京地判平14・4・24) 業務外傷病者に休職制度を適用せず解雇 使用者の裁量権認める
2002.12.30
【判決日:2002.04.24】
症状の固定により就労不能と判断し
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告の従業員であった原告が、主位的には解雇の無効を主張し①従業員の地位の確認と②賃金請求を、予備的には解雇有効を前提に①解雇予告手当と付加金②退職金等を請求し、これらと併合して被告が遠距離通勤を強いたこと、過酷な遠方への配送業務を命じて脳梗塞を発症させたこと、退職勧奨したこと、事実に反する無断欠勤を理由に懲戒解雇したことなどについて不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
判決のポイント
(1)懲戒解雇は、使用者による労働者の特定の企業秩序違反の行為に対する懲戒罰であり、普通解雇は、使用者が行う労働契約の解約権の行使であり、両者はそれぞれその社会的、法的意味を異にする意思表示であるから、懲戒解雇の意思表示がされたからといって、当然に普通解雇の意思表示がされたと認めることはできない。他方、使用者が、懲戒解雇の要件は満たさないとしても当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており、懲戒解雇に至る経過に照らして使用者が懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には、懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されると認められる。…
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平成14年12月30日第2422号14面 掲載