アリアス事件(東京地判平12・8・25) 解雇撤回後の勤務条件拒否を理由とする懲戒解雇は 社会的相当性欠き無効
2001.02.05
【判決日:2000.08.25】
賃金請求のうち判決確定後分は却下
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成2年3月1日、ホテルおよび不動産関連事業を経営するY社の親会社であるS社に入社し、平成9年8月21日、Y社に転籍し同社のホテル事業部長として、S社の関連会社が経営するホテルの運営管理を担当していたが、Y社より、業績悪化に伴うホテル事業部門の縮小等を理由に、平成10年6月25日付けで解雇する旨の通知を受けた(第一次解雇)。しかし、Xはこれを不服として、同年7月、裁判所に地位保全等の仮処分を申立てた(別件仮処分)ところ、右申立ては認容され、Y社に対し月額55万円の賃金の仮払いを命ずる仮処分命令がなされた。
その直後に、Y社はXに対し、同年12月7日付けの内容証明郵便にて、第一次解雇を撤回すると共に、Xの部長職を解任し、賃金を35万2000円(基本給31万2000円、住宅手当、家族手当各2万円)とし、職務手当、役付手当についてはXのY社における新職務に照らし協議のうえ決定する旨を通知した。
その後、Y社とXの代理人との間で、XのY社における勤務に関し、書面のやりとりが行われたが、合意に至らなかったため、Xは、Y社において就労しなかった。…
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平成13年2月5日第2331号12面 掲載