東京ゼネラル事件(東京地判平12・1・21) 退職し競業会社に転職した者の退職金を5割カット 就職の経緯が信義に反す
2001.02.26
【判決日:2000.01.21】
就業規則の変更に“合理性”を認める
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、原告(札幌支店長)が退職の意思表示をしたところ、会社は平成9年6月に就業規則を改正し、会社の承諾を得ないで退職後1年以内に会社と同種または類似の競業を営み、または同業競合会社に就職した等に該当する場合には、退職金の支給を制限する旨の規定を設け、平成9年10月、原告の退職金を5割減額して165万円のみを支払ったため、原告が会社に対して残余の5割の退職金の支払いを請求した事案である。
判決のポイント
変更内容(競業制限を受ける従業員の範囲を限定しており、期間も退職後1年間に限定している。また、被告の承諾を得れば競業他社への就職も可能な内容となっている。退職金についても常に不支給とはしていない)、変更の必要性(要職に就いていた従業員が大量に退職して競業他社に就職すれば、企業の存続にも重大な影響を及ぼしかねない)、労働条件の改善(特に功労金支給制度の新設)及び変更の手続(他の多くの従業員は変更に同意していると認められる)などからすれば、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の変更等については、…
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平成13年2月26日第2334号12面 掲載