フジシール事件(大阪地判平12・8・28) 退職勧奨拒否者から配転命令、降格処分無効の訴え “嫌がらせ発令”と濫用判断
2001.03.05
【判決日:2000.08.28】
開発部長をいきなり単純肉体作業へ
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは平成10年12月14日に通常の退職金と3カ月分の給与加算を条件とする退職勧奨を受け、これを拒否したところ、取引先への訪問を禁止され自宅待機命令を受けた。その後、同月24日に、筑波工場への配転命令がなされたが、配転先での業務内容はインキ担当として、それまでの開発業務と全く異なる肉体労働に従事するものであった。また、同月29日には部長からの降格処分もなされている。
Xは配転命令を不服として仮処分を申請し、平成11年7月15日にこの仮処分が認容されたが、その約1カ月後、YはXに対し奈良工場への配転を命じた。奈良工場での業務も産業廃棄物等の運搬など肉体労働であった。
Xは、各配転命令の無効と、降格処分の無効を争い、慰謝料および給与・賞与の減額分等を請求して提訴した。
判決のポイント
1 筑波工場への配転命令
当時、筑波工場でインク担当業務にXを従事させなければならない業務上の必要性があったものとは言えず、退職勧奨を拒否した直後に従前の開発業務とは全く異なった業務に従事させていること、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成13年3月5日第2335号12面 掲載