丸和證券事件(東京地判平11・12・24) 懲戒解雇事由により退職金を減額、全額払えの訴え 請求権は認められない

2001.03.12 【判決日:1999.12.24】
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予め退職金規程に不支給・減額明記

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 丸和證券株式会社を自己都合退職した甲は、会社に対して会社の退職金規程に基づいて退職金全額の支払いを求めて訴えを提起した。これに対して、会社は、甲に懲戒解雇事由に該当する不法行為があることから退職金を減額して支払ったとして甲の退職金請求権の不存在を主張し、さらに、甲の、会社の顧客Aに対する不法行為により発生した損害を会社が賠償したとして、甲に求償権を行使して反訴を提起したものである。

 本判決は、甲の請求を棄却したうえ、会社の甲に対する求償権の一部を認容した。

判決のポイント

 本判決の要点は、①会社の顧客に対して重大な損害を与え会社の信用を著しく失墜させたことを理由とする退職金の減額支給は正当か、②使用者(会社)の被用者(甲)に対する求償の範囲の限度はどこまでか、の2点である。本判決はおよそ次のように判示した。

 第一点について。就業規則には懲戒解雇の場合は原則として退職金を支給しないが、情状により退職金を減額支給する場合がある旨規定され、退職金規程には、…

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平成13年3月12日第2336号12面 掲載
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