ユナイテッド・工アー・ラインズ事件(東京地判平13・1・29) 婚姻のみを要件とする家族手当は、独身者差別か 民法90条違反といえない
2001.05.21
【判決日:2001.01.29】
独身女性社員への不当差別ではない
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
独身の女性社員のXが勤務している外国航空会社のY社(日本支社)と労働組合との間で締結された労働協約第36条には、「家族手当は次のとおり支給する。(1)男子社員で正式の妻のある者(月額1万6500円、(2)女子社員で正式の夫のある者(月額1万6500円)、(3)社員で実子又は実父母を扶養している者(その扶養者の各1名〈5名まで〉に対し月額7000円)」と規定されている。
Xは、右の家族手当のうち(1)(2)は、配偶者の収入額等による支給制限を設けずに婚姻していることのみを要件として手当を支給しており、独身者を不当に差別し、女性に対する結婚の強制につながるものであって、労働基準法3条の信条又は社会的身分を理由とする差別的取扱に当たり、憲法14条の法の下の平等、同13条の個人の尊重、同27条の勤労の権利、同24条の家族生活における個人の尊厳と両性の平等に違反し、民法90条の公序良俗に反する違法・無効なものであるとして、Y社に対し、右(2)の配偶者手当相当額合計、損害賠償と慰謝料などとして1800万円の支払いを求めて提訴した。…
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平成13年5月21日第2345号12面 掲載