東京貨物社事件(東京地判平12・11・10) 取引先に“不都合な事情で解雇した”と文書を送付 名誉を毀損する不法行為に
2001.06.11
【判決日:2000.11.10】
競合会社設立して受注業務を横流し
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、原告Xが、被告会社Yの実施した出勤停止処分及び解雇の効力を争って、地位確認、出勤停止処分の無効確認及び解雇以降の賃金の支払いを求め、また、右違法な出勤停止処分及び解雇並びに被告Yがこれを各取引先に通知したことによって名誉を毀損され、また、精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づく慰謝料の支払いを求めた事案である。
被告会社Yは、展示会場の賃貸等を業務とする会社であり、原告Xは、昭和49年4月以降被告会社Yの営業担当として業務に従事し、平成5年4月以降は営業本部長営業企画室課長の職にあった。
本件解雇及び懲戒処分の理由は、原告Xが「Design彩工房」(以下「彩工房」)なる個人企業を設立し、同社において被告会社Yの業務であるイベントもしくは展示会の設営業務と一部競合する業務を営んでおり、このため、原告Xは、顧客から被告会社Yが受注すべき業務の一部を彩工房に割譲して被告会社Yの犠牲のもとに不当な利益を得、あるいは被告会社Yにおいて受注すべき業務の全部を他に受注させ横流しするなどの背任的行為を将来にわたって行い、…
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平成13年6月11日第2348号12面 掲載