中外爐工業事件(大阪地判平13・3・23) 退職届受理後に技術資料持出しが発覚、懲戒解雇に 退職慰労金不支給もOK
2001.09.03
【判決日:2001.03.23】
大量に自宅へ配送 背信的意図と認定
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、昭和62年に被告に雇用された従業員であったが、台湾の会社向けカラーコーティング設備のラミネータ装置(貼付機)開発にプロジェクトマネージャーとして従事していた平成11年12月8日、Y社が推進していた転進援助制度の利用を申し出て翌月31日をもって退職する旨の退職届を提出し、同年12月20日、右退職届が受理された。
Xは、右退職届とともに、「私はY社を退職するにあたり次のとおり誓約致します。技術上の情報(図面類、技術計算書類、仕様書類、データ類、B/M類製造技術類など)及び営業上の情報(顧客リスト類、仕入先リスト類、販売マニュアル類、財務データなど)は一切持ち出しておりません」等と記載された誓約書をY社に提出し、その旨誓約した。
ところが、Xは、同月18日と29日に段ボール箱9箱分の技術資料等を自宅に配送した。右技術資料等には、設計図面、設計計算書、設計基準書、試算資料、トラブル報告書なども含まれていた。…
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平成13年9月3日第2359号12面 掲載