日本ビューホテル事件(東京地判平30・11・21) 定年後も営業職、嘱託再雇用され賃金半分に… 役職定年後の減額幅を考慮
2019.04.04
【判決日:2018.11.21】
定年後に再雇用された後も賃金が漸減するなど定年前から半減したのは不合理として、差額賃金等を求めた。東京地裁は、55歳の役職定年後の賃金は14%の減額に留まり、職務の差異と比べて高額と評価。定年後も営業職だが売上げの評価やクレーム対応、配転の有無が異なり、55歳以降の賃金を激変緩和措置と考慮した。賃金の決定に労使協議がなくても影響は及ばないとした。
責任や配転も相違 労使協議なくても
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
使用者たる会社は、不動産の賃貸、ホテル、旅館および観光施設の経営等を目的としている株式会社である。
甲は、昭和25年生まれ(男性)で、昭和52年2月、会社との間で無期労働契約を締結し、ホテル事業部に配属されてから、営業職正社員として稼働していたところ、甲は平成16年4月16日に営業課支配人という役職に就き、翌平成17年3月16日に役職定年(55歳)により役職を退き、平成22年5月23日に60歳で定年退職した。
甲は、平成22年5月24日から定年後再雇用として会社の有期嘱託社員となり、65歳以降は、平成27年5月23日から平成28年4月15日まで臨時社員として職務を続けた。…
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平成31年4月8日第3204号14面 掲載