ゆうちょ銀行事件(徳島地判平30・7・9) 叱責受け自殺、パワハラ防止怠ったと賠償請求 体調不良明らかで配慮欠く
2019.05.09
【判決日:2018.07.09】
パワハラを受けて自殺したとして、遺族が会社に損害賠償を求めた。徳島地裁は、頻繁なミスに対する叱責で、発言内容も指導の範囲内とした一方、2年間で体重が15キロ減るなど体調不良は明らかで、人間関係に起因すると容易に推認できたと判断。本人から相談がなくても配慮不要とはいえず、異動など環境の改善を怠り安全配慮義務違反として約6千万円の賠償を命じた。
人間関係が原因に 指導は違法性なし
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲は、大学卒業後に採用され、その後、転籍により平成23年4月より会社の従業員となり、a地域センターお客様サービス課で勤務していた。甲は、平成25年7月1日付けで、d貯金事務センター総務課に異動となり、翌日8月1日以降、貯金申込課主任となり、運行担当の業務に従事していたが、平成27年6月某日、市内の実家の居室で自殺した(死亡時43歳)。
甲の実母(遺族)が、会社に対して、(1)甲が上司らからパワーハラスメントを受けた結果自殺した、(2)上司らがパワハラ防止措置を懈怠した、および職場環境配慮義務に違反したなどと主張して、使用者責任(民法715条)および債務不履行責任(民法415条)を根拠に8190万円余りの損害賠償を求めて訴えを提起した。本判決は、およそ以下のように判示して、遺族の請求を一部認容した。…
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令和元年5月13日第3208号14面 掲載