プラネットシーアールほか事件(長崎地判平30・12・7) “ブラック企業”とネットに公表され削除命令は SNSで社会的評価が低下
パワハラで休職に追い込まれたとして上司らに損害賠償を求めた事案。「ブラック企業」としたSNSの投稿削除を会社が指示したことも、不法行為に当たると訴えた。長崎地裁は、叱責は指導を逸脱したいじめと推認し、会社と連帯して賠償を命じた。一方、SNSで社会的な評価の低下は否定できず、削除の指示は専ら嫌がらせが目的とはいえないなどとし不法行為とは認めなかった。
パワハラは事実も叱責に使用者責任
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Y1に採用されて広告制作業務に従事し、平成26年7月16日から休職したXが、Y3(Xの上司)のパワーハラスメント等により休職に追い込まれ治療を余儀なくされたとして、Y3らに対し、不法行為に基づく損害賠償金等の支払いを求めた。
Y1に対しては、Y3の使用者(民法715条1項)として、前記金員の連帯支払いを求めたほか、本件訴訟係属中におけるY1のXに対する「業務指示書」と題する文書などの送付が、パワハラに当たり不法行為を構成するとして、慰謝料等の支払いなどを求めた事案である。
文書には、要旨、①「Y2(編注:Y1の親会社)事件 パワハラ・長時間労働/賃金未払・不当解雇」と題するフェイスブック・ツイッターページを完全に削除すること、②Xに対する懲戒処分を検討しているため、何らかの弁明や謝罪があれば書面受領後1週間以内に提出すること、③Xの現在の病状、就業可能でない場合は就業可能となる時期についての見通しが記載された診断書を書面受領後2週間以内に提出すること、④③記載の書面提出後にY1が指示した場合はY1の指定する医師を受診することが記載されていた。…
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