メトロコマース事件(東京高判平31・2・20) 残業の割増率のみ格差不合理とした一審判断は 10年勤続した有期に退職金
2019.06.06
【判決日:2019.02.20】
駅売店の契約社員ら4人が、同業務の正社員との待遇格差は不当として、差額賃金等を求めた。残業の割増率の相違のみ不合理とした一審に対し東京高裁は、労働条件の比較対象を労働者側の選択に委ねたうえで、勤続約10年の2人に退職金の「功労報償的な部分」を支給しないのは不合理と判断。正社員の算式を用いてその25%の支払いを命じた。契約は原則更新、65歳定年だった点も考慮した。
原則更新し定年も 正社員基準の25%
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
第一審原告らは、第一審被告の契約社員として有期労働契約を締結し、東京メトロ駅構内の売店で販売業務に従事してきた。原告らは、期間の定めのない労働契約を締結している被告の従業員が同一内容の業務に従事しているにもかかわらず賃金等の労働条件において原告らと差異があることが、労働契約法20条に違反しかつ公序良俗に反すると主張して、不法行為または債務不履行に基づき、差額賃金(本給・賞与、各種手当、退職金および褒賞の各差額)相当額、慰謝料等の支払いを求めた事案である。第一審(東京地判平29・3・23、本紙3124号)では、早出残業手当の相違のみ、労働契約法20条の違反があるとし、その余の請求は棄却された。…
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令和元年6月10日第3212号14面 掲載