日本郵便(大阪)事件(大阪高判平31・1・24) 契約社員が季節や病気時の休暇認められず控訴 「雇用5年超」格差は不合理
2019.06.20
【判決日:2019.01.24】
契約社員が、手当や休暇制度で正社員と格差があるのは違法として損害賠償を求めた事案の控訴審。大阪高裁は、夏冬の休暇や病気休暇などを付与すべきかの判断において、「雇用期間が5年超」の基準を判示。労働契約法の無期転換権に触れ、相違を不合理とした。一審で格差を不合理とした扶養手当は、有為な人材確保の目的や効果があり、正社員のみも不合理とはいえないとした。
無期転換権を考慮 扶養手当なし合法
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
一審原告ら(8人)は、郵便業務等を事業内容とする一審被告との間で、有期労働契約を締結し、郵便物の集配・集荷等の業務に従事する者である。
一審被告の正社員とは、雇用契約で定められた特定の業務にのみ従事し、役職者や管理職への登用が予定されていない点、勤務地および職務内容が限定され人事異動が行われない点など、業務の内容および責任の程度や職務の内容および配置の変更の範囲において相違があった。
一審原告らは、一審被告に対し、正社員との間で、①年末年始勤務手当、②扶養手当、③夏期冬期休暇、④病気休暇等に相違があることは労契法20条に違反することを理由に、損害賠償等の請求を行った。原審(大阪地判平30・2・21)は、①、②等の相違について法20条に違反するとした。そこで一審原告および一審被告がともに控訴した。…
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令和元年6月24日第3214号14面 掲載