エボニック・ジャパン事件(東京地判平30・6・12) 考課が「普通の水準」満たさないと61歳を雇止め “平凡な成績”なら基準充足
定年から1年後に再雇用の基準を満たさず雇止めされたため、地位確認やバックペイを求めた。東京地裁は、3年間の人事考課結果が「普通以上の水準」とは、会社主張の「平均以上」ではなく、高年法の趣旨から大半が達成し得る「平凡な成績」と判断。3年を通じた評価で考えるのが合理的とした。65歳までの継続期待を認めたうえで、年間賞与の未払分の支払いも命じた。
65歳まで更新期待 賞与一部支払いを
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成27年3月31日、60歳の定年により退職し、4月から雇用期間を1年間として再雇用された。1年後、Y社は、「定年退職後の再雇用制度対象者の基準に関する労使協定」の対象者基準(以下「本件再雇用基準」)のうち「過去3年間の人事考課結果が普通の水準以上であること」(以下「本件人事考課基準」)は、全従業員の平均点以上か、少なくとも評価点数3点以上であることを意味するところ、この要件が充足されていないとして、契約を更新しなかった。
Xは、評価は不当で、実際には基準を充足し、労働契約法19条2号により、同一の労働条件で契約が更新されたとみなされること、業績賞与の査定等に誤りがあることなどを主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件雇止め以降のバックペイ並びに前期業績賞与の未払分の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
1 本件人事評価基準の充足の有無
「普通の水準」という用語は、特に良いとも悪いともいえないような…
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