北日本放送事件(富山地判平30・12・19) 定年後も番組制作、減った年収550万円請求 約3割の基本給差など容認
2019.07.11
【判決日:2018.12.19】
定年後も番組制作を担当し、正社員との賃金の相違は不合理として、年収の差額約550万円の支払いを求めた。富山地裁は、職務の内容等が異なるほか雇用継続給付や企業年金の存在を考慮。両給付を足すと正社員時の基本給を上回った。賃金に関して労組との協議は十分行われており尊重すべきとした。約27%の基本給差は不合理といえず、祝金は恩恵的給付で法の適用がないとした。
企業年金も考慮し 労組との協議尊重
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告会社を定年退職した後、有期労働契約を締結して再雇用社員として就労していた。本件は、原告が正社員との間に、労働契約法20条に違反する労働条件の相違があると主張して、主位的に、正社員に関する賃金規定が適用される労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、賃金の差額(554万円余)等を請求し、予備的に、不法行為に基づき、賃金差額相当額の損害賠償金等の支払いを求めた事案である。
判決のポイント
再雇用社員と正社員の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲はいずれも異なり、原告が定年退職後の再雇用社員であるという原告の基本給を正社員のそれと比べて相当程度低くすることも不合理であるとはいえない事情が存在する上、…
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令和元年7月15日第3217号14面 掲載