セブン-イレブン・ジャパン事件(東京地判平30・11・21) コンビニ店主が「労働者」と未払賃金など求める 事業者性否定まではできず
コンビニ店主が、労働者に当たるとして未払賃金等を求めた。使用従属性が認められるとの主張に対し東京地裁は、労働者への指揮監督とは性質が異なるなど、事業者性を減殺し労働者性を肯定できるまでの事情はないと判断。フランチャイズ契約は労務の提供が目的ではなく、自ら業務を行うか等は経営者に委ねられていた。営業場所や時間の指定は契約の内容にすぎないなど請求を斥けた。
労務提供と異なるFC契約の内容で
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社はコンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営等を業としている株式会社である。甲は、会社との間でコンビニエンス・ストアの経営に関するフランチャイズ基本契約(本件基本契約)を締結し、加盟店主としてセブン-イレブン店を経営していた者である。
本件基本契約は、会社が甲に対して、セブン-イレブン店を経営することを許諾するとともに、継続的なセブン-イレブン・システムによる経営の指導・技術援助およびサービスの実施を約し、甲が店舗の経営を行い、会社に一定のチャージを支払うことを約すること等を内容とするものである。そして、毎日の店舗の売上げ金の全額は、仕入資金等の調達についての信用の供与や簿記・会計処理等を行う会社にいったん送金し、会社から店舗の売上高や売上げ総利益等を基に算定された引出金等の形で毎月送金を受けるとされていたほか、加盟店主の総収入が一定額を下回らないように最低保証制度が導入されていた。
甲が労基法9条の「労働者」および労契法2条1項の「労働者」に該当するにもかかわらず、会社は賃金の支払いを怠る、無効な解雇を行うといった不法行為を行ったなどと主張して、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら