産業医科大学事件(福岡高判平30・11・29) 30年以上働き基本給は正社員の半分“不合理”か 業務類似の時期あり賠償を

2019.08.08 【判決日:2018.11.29】
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 30年以上事務系業務に従事する臨時職員が、正職員の基本給と2倍近い差があるのは不合理として賠償を求めた。福岡高裁は、職務の内容等に違いはあるが、長期雇用は採用時予定していなかった事情で考慮すべきと判断。正職員が主任として管理業務に昇格する前の業務を、臨時職員の「類似業務」として、基本給3万円の差を不合理とした。団交で賃金を引き上げたが判断を左右しないとした。

主任昇格前と比較 月3万円が損害に

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 被控訴人は、大学および大学院を運営する学校法人である。

 控訴人は、昭和55年に臨時職員として採用され、その後、契約更新が繰り返され、その勤続年数は30年以上になる。控訴人の業務内容は、学会等の開催に関する業務、奨学寄附金等の外部資金の管理、講義資料の作成等の教務関係業務等である。臨時職員とは、1月以上、1年以内と期間を限定して雇用される職員であって、大学病院開院時の人員不足を一時的に補う目的で採用されたもので、昭和54~57年まで、採用が続けられた。他方、被控訴人は、昭和55年から臨時職員に対する正規職員への採用試験、同登用を行っていたが、昭和63年以降は、一般応募者と同様に、正規職員採用試験を受験することとした。なお控訴人は、一度、受験したが、合格扱いとはされず、その後は、受験することはなかった。臨時職員の給与月額は15万3050円とされ、定期昇給はないが、人事考課も行われることなく、業務内容の変更や異動もなかった。…

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令和元年8月19日第3221号14面 掲載
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