K社事件(東京高判平30・8・29) 2人体制の夜行バス、運転待機中も労働時間? 「仮眠可能」で業務から解放
夜行バスの運転手らが、交代要員としての乗車時間に賃金支払いを求めた事案の控訴審。高裁もリクライニングの座席など国交省の定める運転者の配置基準を満たすとしたうえで、仮眠できる状態で労働から離れることが保障されていると判断。場所的な拘束はやむを得ず、制服の着用義務はあるが上着を脱ぐことは許されるなど、休憩するために配慮された環境と評価した。
車内拘束でも休憩 制服着用必要だが
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告らは、交代運転手としてバスに乗車している時間は全て労働時間に当たると主張し、また、出庫前・帰庫後の計2時間は労働時間であると主張し、未払賃金、付加金等を請求した。
交代運転手の座席は、運転席の真後ろにある客席であり、客席が二人用の座席でも一人で着席していた。交代運転手は、交代運転手として乗車している間は休憩するように被告から指導されており、仮眠するなどして休憩していた。この際、交代運転手は、制服を着ていたものの、上着を脱ぐことは許容されていた。交代運転手は、その着席中に、乗客の要望や苦情に対応することや、運転手の運転を補助することはなく、事故等の非常用に被告から支給された携帯電話機を管理していたが、被告から着信があることはほとんどなかった。
一審(横浜地裁小田原支判平30・3・23)は原告らの請求を棄却し、原告らが控訴した。
判決のポイント
被控訴人(バス会社)において、交代運転手はリクライニングシートで仮眠できる状態であり、飲食することも可能であることは…
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