ジー・イー・エス事件(大阪地判平31・2・28) 管理監督者でなく割増請求、労働時間どう算定 妻へ帰宅メールで終業認定

2019.09.19 【判決日:2019.02.28】
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 製造部長だった元従業員が、管理監督者には当たらないと割増賃金を求めた訴訟で、大阪地裁は、労務管理の権限を有さず経営への参画要件を欠くとして、請求を一部認めた。終業時刻の認定において、帰宅時の妻へのメールの送信時刻は十分信用できるとしている。他に客観的証拠もなかった。妻の手帳の時刻は正確性が担保されず、会社の確認もないなど信用性を否定した。

客観的な証拠なし メモは正確性欠く

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、被告の元従業員である原告が、被告に対し、労働契約に基づき、在職中の労働基準法37条1項所定の未払割増賃金および退職金等の支払等を求める事案である。

 争点は懲戒解雇の有効性および退職金請求権の存否、原告が労基法41条2号にいう管理監督者に該当するか、該当しない場合の労働時間の算定はどのようにするか、作業ミスによって提出した賃金放棄の念書の効力など多岐にわたる。

判決のポイント

1、労働時間の認定について

 仕事を終えて帰宅のため自動車に乗るまでのごく短時間の間に、送信していたメールは…、配偶者に帰宅時間を知らせる趣旨のものであるといえる。そして、メールの内容自体、これを受信する配偶者のみにその意味を理解させる目的で送信されたもので、ことさら虚偽の終業時刻を記録する意図で送信されたものとみることはできないこと、…

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令和元年9月23日第3226号14面 掲載
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