X事件(大阪地判平31・3・20) ドライバーの能率手当から残業代控除は違法か 歩合給算式不合理といえず
2019.10.10
【判決日:2019.03.20】
ドライバーの能率手当から残業代が控除され、割増賃金の支払いを求めた事案。手当は、荷の重量や走行距離などの出来高がベースだった。大阪地裁は、手当は割増賃金を上回る場合の超過差額であり、割増賃金とは別個独立の賃金項目で支給していたと判示。集配順序や経路は労働者に裁量があり時間短縮できるなど、時間に応じ歩合給に差を設けても不合理とはいえない。
時間外は別途支給 集配経路など裁量
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、貨物自動車運送業等を目的とする会社、原告は、被告において、集荷・配達業務に従事する労働者である。
被告の賃金制度は、①基準内賃金である職務給・勤続年数手当・能率手当等と、②基準外賃金である通勤手当、時間外手当等からなる。②のうち時間外手当は、能率手当を除く基準内賃金をもとに算定される時間外手当Aと、能率手当をもとに算定される時間外手当からなる。また①の能率手当は、賃金対象額(取扱い重量、伝票枚数、軒数および走行距離等に基づいて算出される)と称する出来高が時間外手当Aの額を上回る場合に支給することを前提とする一定の計算式に基づいてその額が算出される(以下「本件計算方法」という)。
原告は、賃金対象額から時間外手当Aを控除する本件計算方法は、労基法37条を潜脱するもので無効などと主張して、未払割増賃金の支払いを求めた。…
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令和元年10月14日第3228号14面 掲載