社会福祉法人札幌明啓院事件(札幌地判令元・5・31) “支配介入”を会社否定、労委が即時救済求める 配転禁じる緊急命令を発令

2020.02.06 【判決日:2019.05.31】
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 組合書記長の配転を支配介入であり不当とした労働委員会の救済命令に会社が従わず、労委が強制的に履行を求める「緊急命令」の発令を求めた。会社は、救済命令の取消訴訟を提起していた。札幌地裁は、労使紛争は長期化し悪化の一途をたどっており、労組の団結権侵害が著しく進行し、回復困難な損害が生じるおそれがあるとして、緊急命令を発令。罰則付きで履行を義務付けた。

従わなければ罰則紛争悪化する一途

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 申立人は、労働委員会である。相手方は、H救護施設などを運営する法人である。

 S労働組合と法人は、D施設長が本件救護施設長に再び就任した後の平成25年~26年にかけて、激しく対立するようになり、平成26年4月28日、組合は、不当労働行為救済申立てを行った(以下「先行事件」という)。 

 翌27年7月21日、申立人は、法人に対し、①団体交渉申入れに対して、「文書で報告のとおりであり、これ以上の回答はない」旨の書面を交付することにより支配介入してはならない、②団体交渉確認書で確認した、就業規則改正の理由等を明記した文書を提示しないことなどにより支配介入してはならない、③救護施設内の集会室を開催場所とすることを拒否し、参加人数を制限することにより、団体交渉を拒否してはならないなどの命令を発した。

 法人は、先行事件の命令について、中労委に再審査申立てを行ったが、中労委は、同命令の一部を認容した。これに対し、法人は、取消訴訟を提起するとともに、組合に対し、中労委命令を履行する考えはないことを回答した。

 平成29年12月13日、先行事件の取消訴訟について棄却する旨の判決がなされたため、法人は控訴した。このような中、法人は、平成28年2月18日付辞令において、組合の書記長であり、本件救護施設の生活指導員Cを、本件救護施設1階の生活支援員(介護職員)へ配置転換した。…

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令和2年2月10日第3244号14面 掲載
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